朝日新聞(2013年6月21日:28面)掲載。
ハンドル回してパラパラ漫画
浜松の住民グループ、装置商品化
「絵動かす体験で子らに創造力を」
重ねた絵に少しずつずれた絵を描き、素早くめくると動いて見えるパラパラ漫画。
浜松市の住民グループ「ミナの森プロジェクト」が、ハンドルを回すと絵がパラパラと回転する装置を商品化した。
デジタル時代に懐かしさを感じられる仕組みだ。
「アニメパラパラボックス」は紙製で、横約9センチ、奥行き約16センチ、高さ約16センチ。
水車のように軸に16枚の羽根がつき、それぞれに5センチ×6.5戦地程度の絵を差し込む。
外側の木製のハンドルを回すと、窓から絵が動くように見える。
遠州から地域文化の発信をめざす同プロジェクトは、アニメ映画の製作の真っ最中。
この映画の監督を務める杉山卓さん(76)が考案した。
杉山さんは子どものころ、アニメの原点となるパラパラ漫画を教科書の隅に描くなど没頭した。
45年ほど前に手塚治虫さんに「これからはアニメの時代だ」と言われ、手塚作品の監督を務めるまでに。
ボックスは10年以上前に試作、絵が回転する音を心地よくするなど改良を重ねてきた。
同プロジェクトの上嶋常夫代表(62)が杉山さんから話を聞き、
「描くおもしろさも、見る楽しみもある。親子でコミュニケーションできる」と商品化を思いついた。
スタッフ4人が手作りしている。
上嶋さんが経営する同市中区板屋町のライブハウス「窓枠」や、同市天竜区水窪町の「ミナの森」などで販売を始めた。
1個1,800円。特許出願中だ。
ボックスに関連して、手書きアニメの創作教室やコンテストも計画している。
杉山さんは「日本はアニメ大国になったが、子どもたちはアニメの仕組みをよく知らない。自分の絵が動くという驚きを体験し、創造力を養ってほしい。」。
上嶋さんは「ITとは逆の発想で、全国へ、世界へと発信したい」と話している。
問い合わせは「窓枠」(053-451-3035) (高田誠)